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渇いた夜(著:亀山早苗、二見文庫)

2010/3/26 発売
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再婚同士で智和と結婚して三カ月たった笙子。彼のおかげで、前夫相手ではありえなかったほど性の部分が少しずつ開花させられていく。そんな自分にとまどいを覚えつつも、一度入れられた“スイッチ”はもはや止めることができなかった。そんなある日、智和に誘われてあるパーティに出席するが―。人気女性ノンフィクション作家による、待望の書き下ろし官能ノベル。(引用元:Amazon)


★★★★★ 夫との間にあるズレを妻の視点で官能的に大幅増幅, 2015/3/19
価値観と共感によって結ばれ、素敵な関係を築いていく夫婦というのは同時に双方が多少なりとも妥協することがあって成り立つ面もあり、それはほんの些細なこともあれば決定的な亀裂を生んでしまうきっかけにもなり得る。その妥協の元は双方が思い描く事柄のそれぞれに潜む「ズレ」であり、そんな男女の感覚的なズレを妻の視点で描いた、その生音を官能というイコライザーで大幅に淫猥増幅させ、さらに寝取らせというエフェクターで猥雑に歪ませた結果、凄味さえ感じさせると表現された妖艶さを纏った「オンナ」の音色が響いた、そんな作品と言える。

これまで読んできた女流作家の官能小説で立ち位置が最も女の側に寄っている作品だったように感じたのは、男性作家ではまず描けそうにない心情と官能の描写に溢れていたからであろう。男としては時折「?」と感じるところも部分的にはあるのだがちょっとクセになりそうな魅力があり、そのためにはじっくり読むことをおすすめする。自分も最初はストーリーの表層を軽く流すように読んでしまい、その深さに気づけなかったのを再読して知るところとなり反省した次第である。

思いがけない迫りと押しに屈して夫以外の男に体を許してしまう前半と、夫が秘密にしていた寝取らせ癖が発露したハプニングパーティ的なプレイが繰り広げられる後半とに大別される構成において、夫婦ともに再婚でまだ間がないことから新婚さながらに昼夜を問わず励んでいたり、就職したばかりの義息(夫と前妻との子供で妻は義母でもある)からは意味深な行動を取られたりで実は冒頭から淫靡な雰囲気を湛えた官能場面がしっかりある。迫られる形を基本としながら台詞を極力控えた妻目線の受身的な状況描写は何ともいやらしく、そのシチュエーションも興奮度を高める。この抑えた官能描写が逆に読み手の想像力を全編に渡って掻き立てるのだが、この冒頭がオンナとして開発されていく前提となって話が流れていく。

姉妹の長女(対照的に奔放な妹も出てくる)ということもあって生真面目で貞淑だった妻が夫に開発され、他の男とも快楽を得るようになり、嫌悪しながら複数人プレイまでも受け入れていく。どんどん享楽的な体になってしまうことへの葛藤というか疑問のような心情が夫への愛情の揺らぎとともに綴られていく中で最後は秘めていた想いをぶつけてきた義息と夫との修羅場的な奪い合いとなる結末には、その行く末を曖昧にしておきながらちゃっかり逆ハーレムの構図で終わるところにも女流作家らしさを感じたところである。
『渇いた夜』のレビュー掲載元


あらすじにもあるように亀山早苗先生の主戦場はノンフィクションの方面かと思われますが、主に不倫を題材とし、数多くの取材から得られた女性の、そして男性の赤裸々な心情を官能小説という形で見せてくれた1冊と言えるかもしれません。

正直に告白しますと、レビューにも記したように最初は所々で官能的にぐっとくる場面はあったものの、さほど起伏もない展開や曖昧な結末にイマイチ馴染めませんで、一度読み終えた時点ではレビューの星の数で言うとせいぜい3つくらいかな?といった印象だったのです。(^^;)



しかし、きちんと読まずに印象だけではなぁと思い、じっくり二度目に挑んだのですが、そうしたらば冒頭からイイ感じにいやらしい。

セリフが控えめなので気づかなかったのですが、状況描写が実にいやらしい。

熟年とはいえ再婚したばかりなので、キッチンに立つ妻(笙子さん)に背後より迫って朝っぱらから交わり出す始末w

サブヒロインもいますが基本は笙子さんですし、文章が笙子さん視点なので「○○○○される」といった表現の官能成分が高い作風になっていました。

こうした奥深さに気づけず反省。orz



彼氏ができてデートを重ねていく時期の女性って、ウキウキでドキドキな体験の連続だと思うのです。

女性同士でしか行かない場所の知識や体験はあるのですが、男がエスコートして連れて行く場所は知らないところばかりで未知の体験ばかり。女性同士では何となく予想できる反応も男だと違っていたりでウキウキ体験。それまできちんと守っていた門限をちょっぴり破ってみるのもドキドキ体験。もぅ、一緒にいるだけでウキウキのドキドキって状態ですよ、たぶんw

しかし、そんなカップルも年数を重ねていくと次第にデートコースもネタ切れでマンネリ気味。それを安定化という見方で納得するもイマイチ満たされていなかったり……女性は基本的にドキドキ体験が大好きですからね。

これが夫婦だと倦怠期に突入と言えるのかもしれませんが、本作では倦怠期でもないのに他の男が目の前に現れ、夫とは別のドキドキ体験を知ってしまい、夫への感情が整理されぬままに今度は夫から突拍子もない提案をされ、それに巻き込まれていくうちに夫以上の体験も味わってしまう。すると「自分にとっての夫って何?」あるいは「自分がウキウキ・ドキドキできるのはどんな時?」みたいな気持ちが沸き上がってくるような、そんな心情が描かれているようにも感じました。

序盤からチラチラと出てくる義息の思わせ振りな態度がこれに拍車をかけていたようでもあって、最後に義息と夫が鉢合わせて結構な修羅場になると「2人ともやめて!私のために喧嘩しないで!」という、少女漫画から大人の女性向け小説に至るまですべからく出てくる「複数の男に囲まれるヒロイン」の構図となり……この段階で(他の作品は未読なので断定はできませんが)、たとえ本作のように二見文庫から出す官能小説であっても亀山先生は基本的に女性の立場で文章を書かれる作家さんなのだなぁ~と感じた次第です。



【新作情報】
◆夫の不倫がどうしても許せない女たち(朝日新聞出版)
2015/3/6 発売
Amazonはコチラから。
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夫の不倫に直面したとき、そこから妻たちは、憎しみ、失望と戦う日々を送ることになる。そうした時に妄想にも近い感情によって、優しかった妻は"夜叉"になっていく。妻の気持ちがわからない男性、そして愛ゆえに苦しむすべての女性へ。(引用元:Amazon)
夫を監視し続ける女、手を挙げる女、自分も浮気をし返す女…裏切りは妄想を生み、やがて憎悪へと変わる―。夫婦が直面した破綻と再生を描く苦く生々しいノンフィクション。(引用元:「BOOK」データベース)







亀山早苗 二見文庫
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テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

tag : 二見文庫 亀山早苗

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