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セピア色の秘帳(著:霧原一輝、双葉文庫)

2014/4/10 発売
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最初の結婚がわずか数年で破綻し、「自分は女性を心底から愛することができない」と思い込んでいる広告マン・渋谷康祐。そんな折、謹厳実直で仕事一筋だった父が亡くなり、遺品の中から、父が厳重に保管していた三冊の日記帳が見つかる。そこには、自分が全く知らなかった父の女性遍歴が克明に記されていた。その赤裸々な内容に衝撃を受けた康祐は……。異色の書き下ろし長編エロス。


★★★★★ 喪ってから紡がれる父子の絆, 2014/4/22
あらすじにある『父の女性遍歴が克明に』や『その赤裸々な内容に衝撃』といった文言にある種の獣欲のごとき淫らさ全開の激しさのようなものを予想していた自分を恥ずかしく思うほどの、官能小説としての格調の高さに少し驚いている。

真面目な教師として堅物に過ごしてきた亡父のまさしく青春を垣間見る日記帳であり、自らの人生を彩ってきた女性達への気高くも真摯な愛情が、その息子たる主人公の行き詰った考えにも影響を及ぼし、導いていく。生前は反発さえしていた父と子が、日記を通じて父の本音を知り、理解していき、そして諭される。そして、女性を真っすぐ愛する術を同時に知る。これを父の生前に面と向かっては行えないところがまた男同士らしくもあって少しニンマリしてしまうのだが、だからこそ日記が父からの愚直な恋愛教科書でもあったと捉えることもできよう。その劇的な結末も後押しして、実に官能小説らしからぬ清々しさを感じた1冊だった。

日記帳は、いわゆる初恋と言えるような1冊目と、初めての燃え盛るような愛の2冊目、そして、永続的な愛の始まりを告げる3冊目から成る。これを敢えてヒロインと呼ぶならば3人ものヒロインとの逢瀬とも言えよう。しかし、ここには恋愛というものが大体においてこうした段階を経て成就することを示しているようでもあり、実際にその情景はリアルそのものである。どの場面も女性からアタックが始まっており、その意味においてはモテる父ではあるのだが、これを安易と断ずるのは野暮と言うもの。控えめながらも誠実な男だからこそ女の母性がくすぐられ、好かれるのだと思いたいし、そうしたメッセージだとも受け取りたい。

正直なところ第一章は余分にも感じたが、これがモヤっとした主人公の現在を示すものであり、晴れやかな未来を見据えた第六章との対比と見れば趣深い。また、第五章『略奪の情事』は、その章題だけで内容を想像すると大いなる素敵な肩透かしを喰らう。自分が生まれてくるための必然としてこんなドラマがあったかと思うと、場合によっては主人公をちょっぴり羨ましく思うかもしれない。思えばどこの世界でも父母となる前は男女なのであり、その知られざる熱烈な恋愛模様を垣間見るのはこそばゆくもあるのだが、ほろ苦くも甘酸っぱい父(と母)の恋物語を目の当たりにするのは心地の悪いものではない。

物語が良過ぎて、あるいは日記の中の父が実直過ぎるが故に官能的には今少しの物足りなさも感じるのだが、途中から官能小説であることを幾分忘れて読み耽ってしまったことを思えば今回は致し方なしとしたい。むしろ、直接的な官能描写を控えた一般小説として出版されても上質な作品だと思えてならない。
『セピア色の秘帳』のレビュー掲載元


亡くなった父の女性遍歴ではありますが、それより父の青春時代の甘酸っぱい思い出が紐解かれていく物語と言えます。

官能小説らしくない感想を述べますが…………なんと爽やかで美しいのかと思わずにいられません!

いや、この父が爽やかイケメンってことじゃありませんよ。(笑)

むしろ、堅物で愚直な人です……だからこそ実直で誠意のある人でした。

この父が一生懸命に恋するんです。

愛を育もうとするんです。

そのひたむきさに胸を打たれます。

そして、なんと結末の劇的なことかと驚愕します。

小説としては霧原一輝史上最高峰と断言しましょう。( ̄^ ̄)ゞ



その結末に関わる「2人の母」について読み終えた人だけが解る……かもしれない考察を ↓ の「続きを読む」に記すので、ネタばれOKな人はどうぞ!

双葉文庫 霧原一輝


【ネタばれ】

実はAmazonで興味深いレビューをされた方がおられまして、その方のお問い合わせにお答えしたのが下記の内容です。

主人公の母と最終的に恋仲となるヒロインの母とは因縁がありまして、作中では触れていませんが、いずれ相対する場面が来るハズなんです。それについてのDSK的独断と偏見と妄想の考察ですw

これは、主人公と恋仲になったヒロインとがいずれ結納もしくはそれに類する形で一席設けることにでもなれば否が応でも2人の母は対面する、その時が来るという意味ですよね。

この経緯を霧原先生が書かれなかったのは、話の本線から外れたエピソードになるからとは思いますが、仮にこれを妄想的に推測致しますと、この事を「棺桶の中まで持っていく」であろうと主人公が推察した先方の母は、主人公の母と対面しても決して口にすることはないでしょう。薄々ながら確信的に気づいた主人公も同様かと。

そんな中で、主人公の母は初の対面で相手が夫(主人公の父)の葬儀に参列していた人であることに気づき、名前を知った瞬間にはこの人が誰であり、どのような関係で葬儀に参列したかも気づくことでしょう。

しかし、きっと主人公の母もその事を口にはしないだろうと思います。

そして、向こうが口にしなさそうだと思えば尚更これを口外することはなく、お互いが気づきながらも「察して」話題にはしない状態になるのだと思います。聞かずとも悟ることで口にする必要は無く、また、これによって主人公の母は先方の母と(人としての格という意味で)同格になり、同時に、同じ想い人を喪った同胞となるからです。まぁ、言ってみれば口外した方が負けの、一種のゲーム感覚のようなものも働きながら、それでいて双方が今は黄泉の国へ旅立ち、思い出の人となった父をそれぞれにひっそり偲ぶことで、お互いの同胞的意識も育むのではないでしょうか。

まだ若ければ修羅場かもしれませんけどね。(^^;)

だからこそ霧原先生は余韻として読み手に委ねたのかもしれませんし、現にこうして妄想してますから(笑)、そうであればそれは正解だったと言えるのではないでしょうか。

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テーマ : 18禁・官能小説
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tag : 双葉文庫 霧原一輝

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